法律基礎知識

離婚について

夫が住宅ローンを払っている場合の婚姻費用

その他/離婚について

世間では、夫名義で住宅を購入し、住宅ローンも夫の名義にすることが多いですが、別居の時には住宅ローンが重い課題として残ります。

 

子どもの通学などの関係で、妻と子どもが自宅に残り、夫が出ていくという形で別居することも多いですが、その場合、夫が妻に対して支払う婚姻費用はどのように計算すればいいでしょうか。

 

住宅ローンの支払いは住宅取得のためであり、ローンを完済した暁には自宅が夫のものになりますので、ローンの全額を婚姻費用から差し引くのは不公平です。

しかし、夫は住宅を使用できない状態であるのに対し、妻は住居費の負担を免れているのは明らかで、これを全く考慮しないとなれば、夫はかなりの出費を強いられることとなります。

 

具体的に婚姻費用から差し引かれる金額は、双方の収入、妻が自宅居住を希望する理由、住宅ローンの返済額などのいろいろな事情を考慮した上で、公平な金額になるよう、ケースバイケースで決定されますが、

過去のケースでは、住宅ローンの半額を婚姻費用から差し引くという形で解決したことがありました。

 

以上は持家で住宅ローンを支払っている場合の考え方ですが、

賃貸住宅で家賃を支払っている場合には、その支払いにより夫が資産を形成するという面はありません。

したがって、夫が家賃を支払っていて、妻のみが自宅に居住している場合には、家賃の額全部が婚姻費用から差し引かれるのが原則です。

 

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再婚した場合の養育費支払い

法律基礎知識/養育費

元夫が元妻に子どもの養育費を支払っているケースで、元夫が再婚し、再婚相手(専業主婦)との間に子どもが生まれたとします。

この場合、元夫が元妻に払う養育費はどのように計算されるでしょうか。

 

元夫が扶養すべき家族は、元妻との間の子供だけではありません。

再婚相手とその子どもに対しても扶養義務を負っています。

扶養家族が増えたことにより、養育費の額は再婚前よりも少なくなります。

 

成人である再婚相手の生活費の指数を生活保護基準によって計算すると、0歳から14歳の子どもの場合とほぼ同じ数字になります。

つまり、計算上、元夫は子ども3人を扶養する義務があるとの同じことになります。

冒頭に挙げた例の場合、養育費算定表で、子ども3人の表を利用して金額を求め、その3分の1が元妻との間の子に対する養育費ということになります。

 

例えば、元夫の給与収入が年500万円、元妻の給与収入が年100万円、子どもは0~14歳が1人としますと、

再婚前の養育費は4~6万円ですが、

再婚して冒頭に挙げた例のような状況になると、子ども3人の表で見ると8~10万円であり、1人当たりは3分の1ですので約2.7万円~3.3万円になります。

 

しかしながら、再婚したことを理由に養育費の減額を請求できるかというと、いったん調停などで決めた金額を変更するのは簡単ではなく、

自らの意思で再婚して扶養家族を増やしていることや、収入に変化がなく十分に養育費の負担が可能なことなどを理由に、減額が認められなかったケースもあります(熊本家裁平成26年1月24日審判)。

 

また、逆に、元妻が再婚して子が再婚相手と同居している場合でも、養子縁組をしない限りは扶養義務が発生しませんので、養育費の決定に当たって再婚相手の収入が考慮されることはありません。

これに対し、養子縁組をしますと養親(再婚相手)に扶養義務が生じます。

しかも、養子縁組をしたからには、養親の扶養義務が第一次的であり、まずは養親が自分の収入で養子を育てるべきだとされています。

したがって、養親に十分な収入がある限りは、元夫は養育費の支払義務を負うことはありません。

 

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養育費の一括払いの危険性

法律基礎知識/養育費

日本では、親の離婚後に養育費が支払われているケースは全体の約2割に過ぎないと言われています。

残念ながら、日本にはまだ国が強制的に養育費を徴収するシステムはなく、養育費支払いと回収は、個人的に処理すべき問題だとされています。

そんなニュースを聞くと、「将来支払われなくなる可能性が高いなら、今、まとまった金額をもらっておきたい」と考えたくなりますし、実際、そのような要望を出される方は多いです。

 

しかし、養育費は日々発生するものであり、将来の分を先取りすることは認められていません。

相手方が支払いに同意すれば一括払いで受け取れることもありますが、それはごく稀なケースです。

 

養育費の一括払いは、次のようなリスクをはらみます。

 

(1) 贈与税が課税される危険性がある

税務上、養育費の一括払いは贈与とみなされる可能性があり、受け取った側に多額の課税がなされるおそれがあります。

例外的に、信託を利用すれば課税の対象にはなりませんが、別途手続を取らなければなりません。

 

(2) 将来的に再請求される可能性は残る

「成人までの養育費を一括払いで渡せば、今後一切請求は来ないのですか?」と質問されることがありますが、そういうわけではありません。

一括払いで支払った金額が少なく、子どもにとって不利益だと判断される場合には、将来的に追加での支払いが認められることもありますし、

子どもや双方の親の状況の変化によって、養育費を増額するように命じられることもあります。

したがって、敢えて一括払いを選択する場合には、今、一括のつもりで支払っても、将来、また支払いをする必要が生じるかもしれないというリスクを十分認識しておく必要があります。

 

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親権争いにおける面会交流の重要性

法律基礎知識/親権

最近、親権の判断に当たり、「面会交流に協力的かどうか」を重視すべきだとする考え方があります。

これは、「フレンドリー・ペアレント・ルール」とも言われ、欧米で主流となっている考え方です。親権者となるべき者には、元配偶者とうまくコミュニケーションを取り、子どもと非同居親との関係をサポートできる能力が必要である、とされています。

したがって、面会交流に消極的な態度を取る親には親権が認められにくくなります。

このフレンドリー・ペアレント・ルールは、日本ではまだ一般的ではありませんが、面会交流に重きを置く判決も出ています。

 

千葉家庭裁判所松戸支部は、昨年3月、離婚後の面会交流を最重要視して、次のような判断を下しました。

 

母親は、父親の承諾を得ずに子ども(判決の時点で小学校2年生の女の子)を連れて別居し、その後、約5年10か月間にわたり母親が養育しており、現在まで合計6回ほどしか面会交流に応じていない。今後も月1回程度の頻度とすることを希望している。

これに対し、父親は、子どもを取り戻そうといろいろな法的手段を講じたが認められず、もし、子どもとの生活が実現すれば整った環境で周到に監護する計画と意欲を持っており、母親と子どもの交流については年間100日に及ぶ面会交流を計画している。

これらの事情によれば、子どもが両親の愛情を受けて健全に成長するためには、父親が親権者となるのがふさわしい。

母親は子どもを慣れ親しんだ環境から引き離すのは長女のためにならないと主張しているが、新しい環境は実の父親が用意する整った環境で、現在に比べて劣悪な環境に置かれるわけではない。

 

しかし、最近報道されたように、この判決は東京高等裁判所によって覆され、高裁では母親を親権者とすべきであるとの結論になりました。

高裁は、面会交流を優先して考えるのではなく、むしろ環境の継続性に重きを置いたものと考えられます。

この事件の父親側は上告を予定しているようですので、最高裁の判断が待たれるところですが、いずれにしても、面会交流に対する態度によっては、親権を失う可能性もあるということは肝に銘じておくべきだと思います。

上記の案件では、母親は過去に回数は少ないものの面会に応じた実績があり、今後は月1回程度の面会を行なうことを提案していますので、特別にマイナス評価となることはないと思われます。

しかし、これに対して、一切面会交流を拒否するような場合には、親権者の判断においてかなり不利な結果になっても仕方がないでしょう。(もちろん、暴力を振るわれる可能性があるなど、特に理由がある場合は別です。)

 

また、本件の原審判決は、母親が父親の承諾なく子どもを連れ去った点も、親権の評価に含めているのではないかと思われます。

一般的には、ある日突然母親が子どもを連れていなくなったという事案でも、それ自体が問題とされることはなく、むしろ、別居以降、母親が子どもを養育し続けているという事実が尊重される傾向があるので、実力を行使した方が有利になるのはおかしいという批判がなされています。

海外では、他方の親の承諾なく子どもを連れ去ることを違法とする国もあり、将来的には親権の判断において重要視されるようになるかもしれません。

 

当事務所では、離婚・親権に関するご相談に女性弁護士が応じております。

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養育費不払いのときの給与差押え

法律基礎知識/養育費

約束した養育費を支払ってもらえない場合に取れる手段のひとつが給与の差押えです。

差押えを行なうためには、いくつか条件があります。

 

1 「債務名義」があること

差押えは、「債務名義」として使える書類がないとできません。

と言っても、「債務名義」という名前の書類があるわけではなく、それを元に差押ができる書類のことを総称して「債務名義」と呼んでいます。

養育費の場合ですと、「調停調書」「和解調書」「判決」「公正証書」等によって養育費を決めている場合には、その書類をもとに差押えができます。

これに対して、当事者間で「養育費を払うよ」と約束をしただけの状態だと、すぐに差押えをすることはできません。改めて、調停などのステップを踏む必要があります。

また、「調停調書」などができていても、金額が具体的に決まっていないと強制執行はできません

したがって、例えば、調停で「進学した時は学費を支払います」等の約束をしていても、具体的な金額が入っていないと、将来、不払いがあっても、直接強制執行をすることはできないのです。

理想的には、「高校進学時から月〇万円支払う」などの具体的な数字を入れてもらいたいところですが、どんな学校に入るのか分からない状態で、先のことを約束させるのはなかなか難しいのが現状です。

 

「債務名義」が「送達」されていること

強制執行関連の用語は難しいものが多く、分かりにくいかもしれませんが、要するに、調停証書や判決などが確実に相手に届いているという証明が必要だ、という意味です。

送達がなされていないと、強制執行ができません。

送達は、滞納が発生してからでも可能ですが、相手方が受け取らないこともありますので、調停が終了したとき、あるいは公正証書を作成したときには、調書もしくは公正証書の送達申請を忘れずに行いましょう。

 

この他に、債務名義の種類によって、「執行文」を得る必要があることもあります。

 

給与差押えの手続は、相手方の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てますが、郵送での手続も可能で、必ずしも裁判所に行く必要はありません。

相手方が遠隔地にいる場合でも交通費の負担を心配することなく差押えができますので、養育費の滞納でお困りの場合は給与差押えをご検討ください。

 

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養育費を支払ってもらえないとき

離婚について/養育費

養育費を合意したのに支払いをしてもらえない場合、どのように対処したらよいでしょうか。

 

まず、家庭裁判所の調停などで養育費を決めた場合には、裁判所を通じて「履行勧告」をしてもらうことができます。

これは、簡単に言えば、裁判所から相手方に対し「きちんと約束したとおりに支払をしなさい」と連絡をしてもらえる、というものです。

書面で履行勧告の申出をするのが普通ですが、口頭で伝えただけでも対応してもらえる場合もあります。

費用もかかりませんので、支払いが止まってしまったときには、まずは履行勧告をしてもらうことをお勧めします。

裁判所から連絡が行くことにより、支払が再開されるケースはたくさんあります。

しかし、履行勧告には強制力がありませんので、相手方が無視した場合に強制的に養育費を回収することはできません。

 

「履行勧告」から一歩進んだ制度として「履行命令」というものがありますが、履行命令にも強制力はありません。

したがって、履行勧告に応じない相手方に履行命令を出してもらっても効果がないことが多いです。

 

なお、以上の「履行勧告」「履行命令」は家庭裁判所の調停等を利用した場合にのみ使える制度で、当事者間の合意で養育費を定めた場合(公正証書を作成した場合を含む)には利用できません。

 

「履行勧告」または「履行命令」に応じない相手方に対しては、強制執行を申し立てるしかありません。

 

強制執行の中でもっとも一般的な方法は給与の差押えです

通常、差押えを行う場合には、すでに期限が来ている部分に限って差押えが可能となりますが、養育費等の場合には、一回の手続で、将来発生する養育費等を回収するために将来の給与を差し押さえるということができます。

これは、養育費を請求する側にとっては非常に使い勝手のよい手続ですが、支払を行なう側にとっては延々と差押えを継続されてしまうという面があります。

一度差押えをされてしまうと、差押えをストップする手続はないに等しく、唯一の方法は請求を行なう側に取下げをしてもらうことです。

 

しかし、養育費を滞納しておいて、いざ差押えをされたら「取下げてくれ」とお願いしても取下げてくれるはずはありません。

私が過去に担当した例では、「成人までの養育費を先払いするから取下げてほしい」との申し出があったにもかかわらず、これを拒否して差押えを継続された方もいらっしゃいました。

そうなると、勤務先での評価が下がったり、退職を余儀なくされたりするケースも出てきますので、くれぐれも養育費は滞納しないようにすべきでしょう。

もし、どうしても支払いができない事情がある場合には、改めて調停を申し立てて養育費の減額を求めるなど、それなりの手続を取る必要があります。

なお、退職をしてしまえば、その時点で差押えはストップします。(ただし、差押えの効力は退職金にも及びます。)

 

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財産分与のタイムリミット

法律基礎知識/財産分与

年金分割は離婚後2年以内にしなければNG!というルールがありますが、
財産分与についても同様の期限があり、離婚から2年以内に請求を行う必要があります。

離婚と同時に財産分与についても話し合う場合が多いと思いますが、協議離婚においては、取りあえず離婚を成立させ、後から財産分与の請求をすることがあります。

例えば、母子手当(児童扶養手当)の給付を早く受けたいなどといった事情により、離婚届を先に出してしまって、後から経済的な条件を話し合うケースです。

このような場合、財産分与の請求を延ばし延ばしにしてしまうと、時間切れになってしまうリスクがありますので注意が必要です。
なお、慰謝料については3年で時効にかかります。

財産分与について当事者間で協議ができない場合は、調停を申し立てる方法で請求を行います。
離婚から2年以内に調停の申立てをすれば、その後の調停に時間がかかって2年が経過してしまっても大丈夫です。
もっとも、離婚から時間が経てば経つほど、相手の居場所が分からなくなるなど、請求が難しくなりますので、財産分与の話し合いは離婚と同時にしておくか、あるいは離婚直後に行動すべきです。

 

注意しなければならないのは、一度財産分与の調停を申立てた後に「取下げ」をする場合です。

調停とは、相手方と話し合いを行い、双方が折り合えるポイントを探していく作業であり、そのポイントが見つからない場合には調停は成立しません。
財産分与調停の場合、調停が不成立となれば、審判に移行して裁判官の判断を仰ぐという流れが普通です。

しかし、まれに、調停を取り下げることがあります。
「取下げ」とは、申立人が「もう財産分与については結論を出さなくて結構です」という意思表示をするということです。

いったん取り下げてしまうと、その調停の申立てはなかったことになります。

つまり、調停を取り下げた時点で離婚から2年が経過していた場合、もはや、財産分与の請求はできません。

調停を取り下げた時点ではまだ離婚から2年が経過していない場合、離婚後2年以内に改めて調停もしくは審判の申立てをしないと、財産分与の請求はできなくなってしまいます。

 

このように、財産分与の請求には時間的な制限がありますので、早め早めに行動することをお勧めします。

当事務所では、女性弁護士が財産分与を初めとした離婚の相談に応じております。

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年金分割のタイムリミット

その他/法律基礎知識

離婚の際に、年金分割の手続をする方が非常に多くいらっしゃいますが、
年金分割には手続のタイムリミットがあり、これを過ぎると受け付けてもらえなくなります。

特に注意していただきたいのは、離婚を先行させて、後から年金分割の手続をする場合です。

年金分割の手続は、離婚成立後2年以内に行うことが決められています。
2年を過ぎると、年金分割をしてもらうことができなくなります。
2年という期間は長いようでいて、あっという間です。
離婚して時間が経つと、相手方と連絡を取ること自体が難しくなったりしますので、離婚から日を置かずにすぐに手続することをお勧めします。
相手方、または相手方の代理人(誰でも代理人になれます)が一緒に年金事務所に行けば、手続は簡単にできます。

問題は、相手方が年金分割の手続に協力してくれない場合です。
つまり、離婚は成立したけれど、相手方が年金分割を拒否して手続ができない場合、調停または審判を申立てることになります。

調停または審判には時間がかかりますので、結論が出る前に2年を経過してしまうことがあります。
その場合の救済策として、法律では、離婚から2年以内に調停または審判の申立てをしていれば、調停成立または審判確定が2年経過後であっても、年金分割の手続ができると定めています。
ただし、その場合の期限は、調停成立または審判確定の翌日から1か月以内なのです。

この1か月という期間は非常に短く、うっかりと経過してしまいがちです。
実際にも、せっかく調停や審判をしたのに、1か月以内に手続をせずに年金分割ができなかったという事例があるそうですので、十分気を付ける必要があります。

いずれにしても、年金分割を希望する方は、期限がギリギリにならないよう、離婚後すぐに行動を起こしたほうが賢明です。

長年別居していると遺族年金をもらえなくなる

その他/法律基礎知識

長年、籍を抜かずに夫と別居していて、夫が死亡した場合、妻の立場はどうなるでしょうか。

長期間別居していても、法律上婚姻関係にある限り、相続権はあります

したがって、夫名義の財産を相続分に応じて取得することができます。

 

では、遺族厚生年金についてはどうでしょうか。

「妻である限り、別居していても遺族厚生年金が受け取れるから、離婚はしません」 と言われる方がいらっしゃいますが、実は大きな誤解があります。

戸籍上の妻であっても、「生計維持関係」がないと遺族厚生年金の受給者にはならないのです。

「生計維持関係」を認めてもらうには、

①「生計同一要件」と②「収入要件」を満たす必要があります。

②の「収入要件」とは、一定以上の収入がある方には遺族厚生年金が出ない、というものですが、 問題となることが多いのは①の「生計同一要件」です。

①の「生計同一要件」とは、簡単に言うと、

●住民票上または実際に同居している場合 あるいは

●同居していないまでも、経済的・人的なつながりがある場合

でないと、遺族厚生年金の支給対象にはならない、ということです。

経済的・人的なつながり、というのは、下記の事情がある場合に認められます。

●別居の理由が単身赴任、就学、入院等のやむを得ない事情によるもので、その事情がなくなれば同居を再開すると認められること

●生活費・療養費などの経済的援助が行なわれていること

●定期的に音信・訪問が行われていること

したがって、夫婦仲がうまくいかなくなって別居を開始した方が、 住民票も移し、一切連絡も取っていないし、生活費も払ってもらっていない… となると、遺族厚生年金は受け取れません。

このような場合、妻の老後の生活を考えれば、夫が元気なうちに、きちんと離婚の手続きを取り、年金分割を受けるべきだということになります。

年金分割の手続は、相手方が協力してくれれば、年金事務所で比較的簡単にできます。

協力してくれない場合には、家庭裁判所に調停の申立てを行う必要があります。

当事務所では、女性弁護士が年金分割に関するご相談をお受けしております。

相手方が手続に応じてくれないと困っている方の相談を良くお聞きしますが、相手方の協力を得なくても、離婚し年金分割を得る方法がありますので、一度ご相談ください。

養育費算定表の使い方

離婚について/養育費

現在、養育費や婚姻費用を決める場合には、裁判所が公表している養育費・婚姻費用の算定表を参考にすることが通例となっています。

数年前までは、法律相談の際に算定表の存在を紹介すると、ほとんどの方が「知らなかった」とおっしゃっていましたが、最近では、算定表の金額をチェックした上で相談に来られる方も多く、一般の方にも認知度が上がってきたと感じます。

今日は、算定表をどう見たらいいのか、についてご説明したいと思います。

算定表は下記をご覧ください。(裁判所の公式HPです)

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/

 

算定表は、表1から表19まであり、

① 養育費か、婚姻費用か
② 子どもは何人いるか
③ 子どもの年齢は0~14歳か、それとも15歳~19歳か

によって場合分けされていますので、該当する表を探して見てください。

ここでは、表1 養育費・子1人表(子0~14歳)を例にとります。

(1) 両親の収入額を確認する

縦軸には「義務者の年収/万円」と書かれていますが、義務者というのは養育費の支払義務者のことです。
横軸は「権利者の年収/万円」と書かれていますが、権利者というのは養育費を受け取る人のことです。
つまり、子の母から父に対して養育費を請求する場合であれば、縦軸が父の年収、横軸が母の年収になります。

縦軸も横軸も、「給与」と「自営」に分かれていますが、給与所得者であれば「給与」、自営業者であれば「自営」の欄の数字を見ます。

ここでいう年収は、税金や社会保険料などを含めた、収入総額を指します。
つまり、いわゆる「手取り」ではなく、「額面」になります。

給与所得者の場合、源泉徴収票でいうと「支払金額」の欄に書いてある額で、何も引かれていない状態の額で見て下さい。

自営業者の場合には、確定申告書の「課税される所得金額」に書かれている額が「年収」になります。
ただし、「課税される所得金額」は、実際の収入とは乖離があります。
例えば、青色申告控除を受けている場合、実際には支払いをしていない専従者給与を計上している場合などです。
これらの場合には、実際には支出していない金額が「課税される所得金額」から差し引かれていますので、養育費等の計算に当たっては、「課税される所得金額」に「青色申告控除」「専従者給与」を加算した額を年収として考えます。

(2) 算定表上で、両親の収入額がクロスする場所を確認する

子の父と母の収入額が分かったら、算定表で、どの場所でクロスするかを見ます。

算定表では、25万円刻み(給与収入の場合)で数字が書かれています。
中間的な数字の場合はどこを見たらいいのか迷うと思いますが、近い数字の方を見るものとされています。
例えば、130万円の給与収入がある場合、125万円と150万円では125万円のほうが近いので、125万円の欄を見ます。

算定表は、2万円ずつの幅を持たせたものとなっています。
例えば2~4万円の枠内にクロスするポイントがある場合、個別的な事情を考慮して、2万円から4万円の間で決めるものとされています。

クロスするポイントが4万円に近い場合は4万円、2万円に近い場合は2万円、中間にある場合は3万円が標準額となります。
ただし、個別的に考慮すべき事情がある場合はこの限りではありません。

(3) 算定表の金額は、公立学校へ通うことを前提にしている

算定表は、公立中学校・公立高等学校に関する学校教育費を指数として考慮しています。
つまり、公立学校にかかる費用は織り込み済みなので、子どもが公立学校に通っている場合は、学費を加算するよう求めることはできません。

私立学校に通っている場合にその学費を加算できるかどうかについては、支払義務者の了解があったかどうか、支払義務者の収入・資産状況等によって判断されます。

 

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