法律基礎知識

個人再生について

個人再生手続において滞納家賃がある場合

個人再生について

現在お住まいの住居、もしくは事業で使っている店舗棟の家賃を滞納している場合、

家賃を支払わないと退去しなければならないので、家賃だけ先に支払ってもいいですか?という質問を受けることがあります。

結論から言うと、家賃を優先して払うことはできません

なお、これはあくまでも過去の家賃を滞納している場合の話であり、

月々の家賃を遅れずに支払っている方は、再生手続きに入ってもそのまま家賃を支払って居住していただくことができます。

 

個人再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権は、すべて「再生債権」として扱われます。

家賃も例外ではなく、個人再生手続開始前の滞納家賃は「再生債権」になります。

再生債権は、再生計画に沿って弁済する必要があるため、家賃を特別扱いすることはできないのです。

 

ただし、事業用の物件の場合は、明渡をすると事業継続に著しい支障を来すという事情があり、かつ、滞納家賃の額が少額にとどまる場合には、裁判所の許可を得て弁済することができます。

単に、引越費用がかさむという理由では弁済は認められませんので、転居せざるを得ません。

ご家族などの第三者が代わりに滞納家賃を支払うことは可能ですので、どうしても転居ができない場合はそのような方法をご検討ください。

もしくは、家主に了解してもらえる場合には、敷金・保証金を滞納家賃に充当してもらうというやり方もありますが、なかなか了解を得られないことが多いと思います。

 

堺けやき法律事務所

弁護士 深堀 知子

 

個人再生の2つの手続き~小規模個人再生と給与所得者等再生

個人再生について/法律基礎知識

小規模個人再生と給与所得者等再生

 

個人向けの再生手続には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。

いずれも、支払いに行き詰まった場合に利用できる手続きですが、

小規模個人再生は主に個人事業者向け、 給与所得者再生は給与等の定期収入がある方のみが使える手続きです。

小規模個人再生は、給与所得者の方も利用できます。

 

1 利用条件

※小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する条件

① 再生計画通りの支払ができるだけの継続的・反復的な収入を得る見込みがあること

② 債務の額が5000万円以下であること(住宅ローンの額等は除く)

 

※給与所得者等再生のみに必要とされる条件

③ 給与などの定期的な収入があり、かつ、変動の幅の小さいこと

 

2 弁済額

※小規模個人再生

下記の①、②のいずれか多い方を支払います。

① 債務の額から法定の割合で計算した「最低弁済額

② 清算価値(不動産、預貯金などの財産を処分して得られる額)

※ 最低弁済額
債務の額 最低弁済額
100万円未満 債務の額と同じ
100万円~500万円 100万円
500万円~1500万円 債務の5分の1
1500万円~3000万円 300万円
3000万円~5000万円 債務の10分の1
 

※給与所得者等再生

上記の小規模個人再生の①、②の他に、③の基準が入ります。

①、②、③を比べて、一番多い額を支払います。

 

③ 可処分所得額×2年分

可処分所得とは、給与等の手取り額から生活費など(政令基準額による)を差し引いて、残った額をいいます。

給与等が高いと、③が①・②を上回り、弁済額が多くなることがあります。

そのような場合には小規模個人再生を選択することも可能ですが、

小規模個人再生の場合、下記3に記載する債権者の決議を経る必要があります。

 

 

3 債権者の決議

小規模個人再生では、債権者が再生計画案に対して同意するかどうかを決議する手続きがあります。

頭数または債権額で過半数以上の反対があった場合には再生計画案は否決されます。

給与所得者再生にはこの決議のステップはありません。

 

堺けやき法律事務所

弁護士 深堀 知子

個人再生手続きのメリット

個人再生について

個人の借金を整理する方法の一つとして、個人再生があります。

自己破産の場合は、最終的に借金の支払義務がなくなりますが、個人再生では、ある程度の金額を分割弁済するという形での解決となります。

時々、自己破産はイメージが悪いので再生手続きをしたい、と言われる方がいらっしゃいますが、3年から5年にわたり返済をしなければなりませんので、それが可能かどうかしっかり見極めてから手続を選択すべきです。

次に述べるような住宅を守りたいという事情もなく、破産することにより特に具体的なデメリットもない場合には、自己破産が適しているケースが多いです。

 

個人再生の最大のメリットは、自己破産と違い、住宅ローン付きの自宅を保有し続ける道がある点です(住宅資金特別条項の利用)。

どうしても自宅を手放したくないと考える方に是非ご検討いただきたい手続ですが、これにはいくつか条件があります。

 

●「自宅」であることが必要なので、自宅以外の持ち家には使えません。

ただし、一時的に単身赴任等で家を離れている場合は問題ありません。また、一部を店舗として使用していたり、二世帯住宅である場合でも、本人が住宅として使っている部分が建物の床面積の2分の1以上であれば問題ありません。

 

●自宅に住宅ローン債権以外の抵当権が付いていると、住宅資金特別条項は使えません。

 

●マンション管理費の滞納がある場合も住宅資金特別条項は使えません。

 

●住宅ローンを延滞したため、保証会社が代位弁済を行い、6か月が経過してしまうと住宅資金特別条項は使えません。

なお、住宅ローンを滞納してしまっている場合には、銀行の同意がないと手続きが進められないケースが多いので、事前に、銀行と弁済方法を協議して、銀行の了解を取り付けておく必要があります。

 

当事務所では、自己破産、個人再生、任意整理などの借金問題に関するご相談をお受けしております。

お気軽にお問い合わせください。

 

 

借入金の支払いにお困りの方へ

任意整理について/個人再生について/自己破産について

個人の方が借入金を返済できなくなった場合の整理の方法としては、自己破産、個人再生、任意整理、特定調停があります。

それぞれの特徴をご説明しましょう。

 

自己破産

破産とは、裁判所に、債務の支払ができないことを認めてもらう手続です。破産手続きの中に「免責」という制度があり、免責を受ければ負債を支払う必要がなくなります。

破産の申し立ては、住所地を管轄する地方裁判所に対して行います。

 

個人再生

個人再生の手続を取ると、返済額をある程度まで減らすことができます。個人再生では、借金を減らした上で、原則として3年間で分割弁済します。

自己破産と異なる点は、借金を全く返済しないのではなく、一定の金額を支払うという点です。

また、住宅ローン付きの住宅を所有している場合に、住宅を処分せずに済む手続が用意されているのが大きな特徴です。これに対して、自己破産の場合は原則として不動産をすべて処分する必要があります。

個人再生手続も、破産と同じく住所地を管轄する地方裁判所に対して申し立てる必要があります。

 

任意整理

弁護士等が各借入先との直接交渉を行い、借入先ごとに個別に返済総額及び毎月の支払額を決める方法です。

基本的に、利息制限法による引き直し計算を行った場合の残元金まで減額を行うことは可能ですが、それ以上に減額させることは困難です。ただし、一括弁済ができる場合にはある程度の減額が認められることもあります。

分割弁済を前提にする場合、個人再生のほうが減額できる幅が大きくなります。

 

特定調停

特定調停とは、簡易裁判所で行う調停で、調停委員を介して各借入先との交渉を行うことができます。

弁護士を依頼される場合、特定調停を申し立てなくても借入先との交渉は可能ですし、その結果もほぼ変わりません。つまり、特定調停は、弁護士を依頼せずに借入先と交渉を行いたい場合に使われることが多い手続です。

 
どの手続を選んだらよいか

 

一番問題となるのはご本人の支払能力です。  つまり、今後、どの程度の収入が見込まれるかによって、選択すべき手続が変わってきます。

無収入、もしくはきわめて収入が低く、返済に充てる額を捻出できない方の場合は、自己破産以外の方法を採ることは困難です。

ある程度の収入がある方に関しては、全体の負債額、返済可能額、住宅を維持する必要の有無などによって、自己破産、個人再生、任意整理・特定調停のいずれがベストかを判断することになります。

 

借金の整理を行いたいとお考えの方は、一度、法律相談を利用して、どの手続がふさわしいか相談されることをお勧めします。

お気軽に、ご相談、お問い合わせください。