法律基礎知識

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改正個人情報保護法が施行されます

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個人情報保護法が改正され、明日5月30日より施行されます。

 

今回のもっとも大きな改正点は、個人情報保護法の対象となる団体の範囲が拡大されたことです。

従来は、小規模の事業者(5000人分以下の個人情報を取り扱う者)に対しては個人情報保護法は適用されていなかったのですが、

明日からは、すべての事業者が個人情報保護法を遵守しなければならないこととなります。

したがいまして、小さな商店でも、お客様に住所や氏名を提供してもらう場合には、法律に定めたルールにのっとって取り扱う必要があります。

 

そして、「事業者」というと営利目的の会社などを連想すると思いますが、自治会や同窓会など、非営利目的の団体も含まれます。

今後、自治会や同窓会等で名簿などを作成する場合には、個人情報保護法に違反しないよう注意する必要があります。

 

具体的には、顧客や自治体等のメンバーから個人情報(住所、氏名、電話番号など)を集める場合には、「利用目的の特定」が必要です。

※ 例えば、「会員相互の親睦のため」「名簿作成及び配布のため」など

さらに、「利用目的」を本人に知らせなければなりません。具体的には、個人情報を提供してもらう際に、その用紙に利用目的を明記しておきましょう。

集めた個人情報は、外部に漏洩しないよう適切に管理し、また、情報に誤りがあった際に訂正できる体制(連絡先の明示)を整えておく必要もあります。

 

従来、すでに収集ずみの個人情報については、暗黙の了解とされている範囲で利用する限りにおいては問題なく、改めて特別な措置を取らなければならないわけではありませんが、この機会に個人情報の管理体制を見直してはいかがでしょうか。

 

堺けやき法律事務所 弁護士 深堀 知子

犯罪被害給付制度について

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犯罪行為により死亡や重傷を負うなどした被害者・遺族に対して、国から給付金が支給される制度があります。   給付金は下記の3種類です。 ※遺族給付金(被害者死亡の場合)

  •  生計維持関係にある遺族がいる場合は2964.5万~872.1万円
  •  それ以外の場合は1210万円~320万円
※重傷病給付金(被害者が重傷病を負ったとき)
  •  1年間の医療費と休業損害を考慮した額で、上限120万円
  •  「重傷病」とは、療養の期間が1か月以上で、かつ、入院3日以上を要する負傷または疾病とされています。
  •  PTSD等の精神疾患の場合は、療養の期間が1か月以上で、かつ、その症状の程度が3日以上労務に服することができない程度であることを要します。

※障害給付金(被害者に障害が残ったとき)


  • 重度の場合(障害等級1級~3級)は3974.4万円~1056万円
  • それ以外の場合は1269.6万円から18万円
  • 「障害」とは障害等級1級から14級に該当する程度を指します。
犯罪給付金は次の場合には支給されません。 ※過失による犯罪の場合
  • 犯罪給付金は、「故意」の犯罪のばあいにのみ支給されます。
  • 交通事故等による被害の場合には、「過失」による犯罪になるため、本制度の適用はありません。(自動車損害賠償保障法による救済はあります。)
※親族間の犯罪の場合
  • 親子、夫婦など家族間の犯罪では原則として給付されませんが、例えば、DVによる被害の場合など、例外的に給付されることもあります。
※加害者がすでに損害賠償を行っている場合
  • 加害者が給付金の額を超える損害賠償を行った場合には、重ねて犯罪給付金を請求することはできません。加害者から受け取った額が給付金の額に満たない場合には差額を受け取ることができます。
※被害者が損害賠償請求権を放棄した場合
  • 加害者に対する損害賠償請求権を放棄した場合には、別途、給付金を請求することはできなくなります。加害者側と示談する場合には、この点に十分注意する必要があります。
※この他にも、次のような場合には給付金が支給されない、または一部しか受け取れないことがあります。
  • 被害者が犯罪行為を誘発した場合、または容認した場合
  • 集団的または常習的に暴力的不法行為を行なうおそれがある組織に属していた場合
  • 被害者に不注意または不適切な行為があった場合
  • 被害者と加害者の関係(金銭・男女関係など)からみて、給付金を支給することが社会常識に照らし適切でないと認められるとき
給付金に関する決定に不服がある場合 犯罪給付金支給の可否は、都道府県公安委員会の裁決により決定されます。 裁定の内容に不服がある場合には、通知書を受け取った日の翌日から起算して3か月以内に国家公安委員会に審査請求をすることができます。 審査請求の期間は平成28年4月1日の法改正により60日から3か月に延長されましたが、それでも短い期間内に手続をしなければなりませんので、裁決に疑問がある場合にはすぐに行動に移す必要があります。   申請には期限があります 給付金の申請は、被害の発生を知った時から2年以内に行う必要があります。 また、被害の発生から7年を経過してしまうと、請求者が被害を知らなくても、請求はできなくなります。   平成28年11月30日から、国外での犯罪被害に対しても国から金銭が支払われることになりました   従来、犯罪被害者に対する給付金は国内での犯罪行為による被害に限られ、海外で被害を受けた方には支給されませんでした。 平成28年6月に「国外犯罪被害者弔慰金等の支給に関する法律」が成立し、海外における犯罪行為によって被害を受けた日本国民に対する弔慰金または見舞金が支払われることになりました。 ただし、国内犯罪に対する給付金は犯罪によって生じた損害の填補を目的としているのに対し、国外犯罪に対する弔慰金等はあくまでも見舞金という位置づけであるため、その金額は低く抑えられています。 具体的には、遺族弔慰金(被害者死亡の場合)は200万円、 障害見舞金(障害1級の場合のみ)は100万円 となっています。また、重傷病給付金のような制度は設けられていません。