新しい消滅時効制度について② ~時効の停止

新しい民法では、時効の中断・停止について分かりやすく整理が行われました。

 

時効の中断とは、時効の進行がリセットされて、またゼロからカウントされること。

これに対して、時効の停止とは、時効の進行が一時的にストップされている状態です。

例えて言うならば、途中まで見ていたDVDを止めて、最初から見るのが「時効の中断」で、

一時停止の状態にしておくのが「時効の停止」というイメージです。

 

例えば、時効の中断の一つとして裁判上の請求(訴訟の提起など)がありますが、

訴訟を提起した段階で時効の進行が一時停止状態となり、訴訟が続いている限りは進みません。

判決が出て、その判決が確定すると、確定した時に時効期間はリセットされ、ゼロからカウントされます。

新民法では、一時停止状態を「猶予」、リセットされる場合を「更新」というように言葉を使い分けて整理していますが、実質的には、現在の民法から大きく変更される部分はありません。

 

実質的に変更されるのは次の2点です。

 

① 天災によって権利が行使できなかった場合の猶予期間が2週間から3か月に

 

大震災等の天災のために、時効が完成する前に権利の行使ができなかった場合、現在の民法では、権利の行使を妨げる事情がなくなった時から2週間と定めています。

しかし、これはあまりにも短いということで、3か月に延長されました。

 

② 話し合いを行なっている場合に時効の進行を止めることが可能に

従来、話し合いで解決しようとしているうちに時効が近づいてくると、時効完成を止めるために訴訟などの法的手続きを執らざるを得ないことがありました。

当事者間の話し合いで解決ができそうなのに、時効のためだけにわざわざ訴訟を提起しなければならないのは不都合だということで、今回、当事者間が協議を行なう旨の合意を書面もしくは電磁的記録で行えば、時効進行をストップすることができるようになりました。

このような合意書が作成されたときは、当事者が別途期間の取り決めをしない限り、合意の日から1年間は時効をストップすることができます。