法律基礎知識

自己破産した時に保有を認められる財産の範囲 その3

前回までの記事で、自己破産しても、99万円までの現金・普通預貯金であれば手元に残せる、というお話をしました。
そして、現金・預貯金以外の財産(代表的なものは保険や車)の場合は扱いが違うことを説明しました。

では、破産手続きの直前に、保険を解約して現金化した場合はどうなるのでしょうか?
自動車を売却した場合には?

これについては、滑り込みで現金化しても、現金・普通預貯金と同じ扱いにはなりません。

例えば、解約したら30万円の解約返戻金を受け取れる保険がある場合。
破産すると

①破産管財人を付けずに、30万円の全額を債権者に按分弁済するか、または、
②破産管財人を付けてもらって自由財産拡張の申立てをするか、
のどちらかになります。
破産管財人を付けますと、申立て費用が約20万円アップします。

これを回避するために、破産直前に解約して現金30万円に換え、「現金だから手元に残せるでしょ?」
と言っても、それは認められない、ということです。

ただし、誰が聞いてもやむを得ないと納得できる使途に使った場合にまで、30万円を按分弁済せよ、と言われるわけではありません。
破産申立費用に充てた場合や、入院費に使った場合などがこれに当たります。

どのような場合に、保険の解約返戻金等を使ってしまってもよいか、については、
その使途や金額、使った時期、その時の収入や支出の状況など、あらゆる事情を加味して判断されます。
かなり個別的な事情によって左右されますので、詳しくは弁護士にご相談ください。

なお、将来的にお金が必要になる、という理由で按分弁済を免除してもらうことはできません。
そのような希望がある場合は、破産管財人を付けて自由財産拡張申立てを行ったほうがよいと考えられます。

 

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2016/11/02

法律基礎知識/自己破産について