法律基礎知識

家庭裁判所調査官の調査とはどんなもの?

家事審判規則では、「子が満15歳以上であるときは、家庭裁判所は、親権者指定変更の審判をする前に、その子の陳述を聞かなければならない。」と規定されています。

離婚調停や離婚訴訟で親権が争われている場合、子どもの意見を聞く方法として、家庭裁判所調査官による調査が行われることがあります。 あるいは、子どもの年齢にはかかわりなく、そもそも親権者として両親のどちらがふさわしいのか判断する目的で調査を行うこともあります。

調査官とは、法律だけではなく心理学・社会学・教育学等の知識を有する裁判所の職員です。 調査官による調査は、必ず行われるものではなく、特に必要性があると裁判所が判断した事案のみに限られますので、親権を決定する場合には必ず調査がある、というわけではありません。
過去の例では、15歳以上の子どもがいる離婚訴訟のケースで、親権に関しては夫婦間であまり対立がなかったので、子どもの気持ちを書面に書いて出すだけでよい、と指示されたこともありました。

 

調査官の調査はどういうことをするの?

調査官の調査の内容は、主に面談です。

通常、父親、母親、子どものそれぞれに、個別に面談します。

両親の他に、祖父母などが日常的に子どもの面倒を見ている場合には、祖父母などとの面談を行うこともあります。

その他に、保育園や幼稚園、学校などで担任の先生から事情を聴いたり、家庭訪問をしたりする例もあります。

 

面談の場所は、基本的には裁判所ですが、子どもとの面談は、家庭訪問という形で行われることが多いようです。

それは、特に小さい子どもの場合、家庭でリラックスした状態で面談するのが望ましいからだと言われています。また、養育環境の調査が調査内容に含まれる場合は、面接と養育環境の調査を兼ねて家庭訪問するということになるのでしょう。

ただし、ある程度の年齢に達している子どもで、子どもの意思確認がメインとなる場合などは、子どもが裁判所に出向いて面談することもあります。

 

もちろん、これらの面談は、事前に当事者の了解を得て行われるもので、突然、調査官が訪問してくるということはありません。

また、調査官が子どもと面談するときは、できる限り子どもの本心を引き出すために、父親または母親は立ち会わず、また、兄弟姉妹がいる場合にも一緒に面談するのではなく、通常、1対1で行われます。

弁護士が代理人で付いている場合、親の面談には同席させてもらうことができ、多少の補足説明などは可能ですが、子どもの面談には同席できません。

 

調査が終わった後はどうなるの?

調査官は、調査終了後に「報告書」を作成します。

調査官の報告は、裁判官の判断に重要な影響を及ぼしますので、調査官の調査が行われた場合には、必ず内容を確認しましょう。

「報告書」は、原則としては当事者が閲覧・謄写(コピー)をすることが可能です。

なお、閲覧は無料でできますが、謄写は有料です。

 

このように、調査官に伝えた内容は、「報告書」を通じて相手方に伝わる可能性があります。

どうしても相手方に知られては困る場合(例えば、DV事案で住所を秘匿しているが、ある事実から地域が推定されそうな場合など)には、その旨を調査官に伝えれば報告書には記載しないように配慮してもらえます。

ここは知られては困る、という情報があれば、面談の際にはっきりと伝えておきましょう。

 

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2016/11/15

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