海外に資産がある人の自己破産手続き

グローバル化が進む現在、海外に資産を持つ方も少なくありません。

日本で破産手続きを取る場合、そのような資産も換価の対象となるのか、あるいは海外にある資産は別扱いとなるのか、どちらでしょうか。

現在の破産法では、日本で破産手続きをしても、その効力は外国にある財産にも及びます。

つまり、国内の財産も、海外の財産もすべてお金に換えたとしても、それでもなお借金が支払えない場合に初めて破産宣告がなされます。
したがって、自己破産をする場合には、海外にある財産についてもすべて資料を添付して申告しておく必要があります。
これが漏れていた場合、財産を隠匿したとみなされ、免責が受けられないこともあります。

逆に、外国から日本に来た方が、日本で支払不能となり、負債の整理を余儀なくされることがあります。
現在の破産法では、外国籍の方に関しても、日本に住所等があれば破産の申し立ては可能であり、手続きの中身は日本人の場合と違いはありません。

この場合も、もちろん、海外の資産も債権者に対する配当の原資となりますので、すべてリストアップして申告しなければなりません。
ただし、海外の資産が少額で、お金に換えるために費用がかかり、逆にマイナスとなる場合などには、実際には換価されることはないと考えられます。

もし、海外で仕事をしたり、収入を得たりしていたことがある場合には、それらの詳細を説明するとともに、
所有する資産の内容が分かる資料を取り寄せて添付する必要があります。
さらに、外国語の資料については翻訳を付けなければなりませんので、通常の破産手続きよりも準備に時間を要することにご注意ください。

 

 

 

自筆で書く遺言と公正証書遺言

今回は遺言の書き方についてご説明します。

遺言には、自筆で書く遺言(自筆証書遺言)と公証人に作ってもらう「公正証書遺言」がありますが、
公正証書遺言のほうが安全・確実ですので、できれば公正証書遺言にすることをお勧めします。

「公正証書遺言」は、全国の公証人役場で作ってもらうことができます。

公証人役場がどこにあるか調べたい、どういうことをしてくれるのか知りたい、という方はこちらをご覧ください。(公証人役場のHPが開きます)

公正証書遺言は、「公証人」が作成してくれるもので、原本が公証役場に保管されます。
そのため、失くしたり勝手に書き換えられるなどの危険がありません。
ご本人の死後、遺言書が手元にない場合でも、相続人が公証人役場に問い合わせれば、遺言の有無及び内容を知ることができます。

これに対して、自筆で書いた遺言は、法律が決めたとおりのルールが守られていないと無効になってしまいます。
また、自筆の場合、遺言作成者の死後、家庭裁判所に遺言を持って行って「検認」という手続を経なければなりません。

公正証書の場合、書き方を誤って無効になる心配もありませんし、検認も不要です。

ただし、公正証書遺言を作るには手数料がかかります。

手数料の額は、相続する財産がどれくらいあるかによって異なりますが、
例えば、相続財産が1000万円の場合は3万円程度です。
計算方法は公証人役場のホームページで説明されているのでこちらをご覧ください。

また、公正証書遺言を作るには2人以上の証人が必要です。
適当な証人がいない方の場合は、公証人役場で証人になってくれる人を紹介してくれますが、その場合は別途費用がかかります。

財産分与のタイムリミット

年金分割は離婚後2年以内にしなければNG!というルールがありますが、
財産分与についても同様の期限があり、離婚から2年以内に請求を行う必要があります。

離婚と同時に財産分与についても話し合う場合が多いと思いますが、協議離婚においては、取りあえず離婚を成立させ、後から財産分与の請求をすることがあります。

例えば、母子手当(児童扶養手当)の給付を早く受けたいなどといった事情により、離婚届を先に出してしまって、後から経済的な条件を話し合うケースです。

このような場合、財産分与の請求を延ばし延ばしにしてしまうと、時間切れになってしまうリスクがありますので注意が必要です。
なお、慰謝料については3年で時効にかかります。

財産分与について当事者間で協議ができない場合は、調停を申し立てる方法で請求を行います。
離婚から2年以内に調停の申立てをすれば、その後の調停に時間がかかって2年が経過してしまっても大丈夫です。
もっとも、離婚から時間が経てば経つほど、相手の居場所が分からなくなるなど、請求が難しくなりますので、財産分与の話し合いは離婚と同時にしておくか、あるいは離婚直後に行動すべきです。

 

注意しなければならないのは、一度財産分与の調停を申立てた後に「取下げ」をする場合です。

調停とは、相手方と話し合いを行い、双方が折り合えるポイントを探していく作業であり、そのポイントが見つからない場合には調停は成立しません。
財産分与調停の場合、調停が不成立となれば、審判に移行して裁判官の判断を仰ぐという流れが普通です。

しかし、まれに、調停を取り下げることがあります。
「取下げ」とは、申立人が「もう財産分与については結論を出さなくて結構です」という意思表示をするということです。

いったん取り下げてしまうと、その調停の申立てはなかったことになります。

つまり、調停を取り下げた時点で離婚から2年が経過していた場合、もはや、財産分与の請求はできません。

調停を取り下げた時点ではまだ離婚から2年が経過していない場合、離婚後2年以内に改めて調停もしくは審判の申立てをしないと、財産分与の請求はできなくなってしまいます。

 

このように、財産分与の請求には時間的な制限がありますので、早め早めに行動することをお勧めします。

当事務所では、女性弁護士が財産分与を初めとした離婚の相談に応じております。

お気軽にお問い合わせください。

年金分割のタイムリミット

離婚の際に、年金分割の手続をする方が非常に多くいらっしゃいますが、
年金分割には手続のタイムリミットがあり、これを過ぎると受け付けてもらえなくなります。

特に注意していただきたいのは、離婚を先行させて、後から年金分割の手続をする場合です。

年金分割の手続は、離婚成立後2年以内に行うことが決められています。
2年を過ぎると、年金分割をしてもらうことができなくなります。
2年という期間は長いようでいて、あっという間です。
離婚して時間が経つと、相手方と連絡を取ること自体が難しくなったりしますので、離婚から日を置かずにすぐに手続することをお勧めします。
相手方、または相手方の代理人(誰でも代理人になれます)が一緒に年金事務所に行けば、手続は簡単にできます。

問題は、相手方が年金分割の手続に協力してくれない場合です。
つまり、離婚は成立したけれど、相手方が年金分割を拒否して手続ができない場合、調停または審判を申立てることになります。

調停または審判には時間がかかりますので、結論が出る前に2年を経過してしまうことがあります。
その場合の救済策として、法律では、離婚から2年以内に調停または審判の申立てをしていれば、調停成立または審判確定が2年経過後であっても、年金分割の手続ができると定めています。
ただし、その場合の期限は、調停成立または審判確定の翌日から1か月以内なのです。

この1か月という期間は非常に短く、うっかりと経過してしまいがちです。
実際にも、せっかく調停や審判をしたのに、1か月以内に手続をせずに年金分割ができなかったという事例があるそうですので、十分気を付ける必要があります。

いずれにしても、年金分割を希望する方は、期限がギリギリにならないよう、離婚後すぐに行動を起こしたほうが賢明です。

長年別居していると遺族年金をもらえなくなる

長年、籍を抜かずに夫と別居していて、夫が死亡した場合、妻の立場はどうなるでしょうか。

長期間別居していても、法律上婚姻関係にある限り、相続権はあります

したがって、夫名義の財産を相続分に応じて取得することができます。

 

では、遺族厚生年金についてはどうでしょうか。

「妻である限り、別居していても遺族厚生年金が受け取れるから、離婚はしません」 と言われる方がいらっしゃいますが、実は大きな誤解があります。

戸籍上の妻であっても、「生計維持関係」がないと遺族厚生年金の受給者にはならないのです。

「生計維持関係」を認めてもらうには、

①「生計同一要件」と②「収入要件」を満たす必要があります。

②の「収入要件」とは、一定以上の収入がある方には遺族厚生年金が出ない、というものですが、 問題となることが多いのは①の「生計同一要件」です。

①の「生計同一要件」とは、簡単に言うと、

●住民票上または実際に同居している場合 あるいは

●同居していないまでも、経済的・人的なつながりがある場合

でないと、遺族厚生年金の支給対象にはならない、ということです。

経済的・人的なつながり、というのは、下記の事情がある場合に認められます。

●別居の理由が単身赴任、就学、入院等のやむを得ない事情によるもので、その事情がなくなれば同居を再開すると認められること

●生活費・療養費などの経済的援助が行なわれていること

●定期的に音信・訪問が行われていること

したがって、夫婦仲がうまくいかなくなって別居を開始した方が、 住民票も移し、一切連絡も取っていないし、生活費も払ってもらっていない… となると、遺族厚生年金は受け取れません。

このような場合、妻の老後の生活を考えれば、夫が元気なうちに、きちんと離婚の手続きを取り、年金分割を受けるべきだということになります。

年金分割の手続は、相手方が協力してくれれば、年金事務所で比較的簡単にできます。

協力してくれない場合には、家庭裁判所に調停の申立てを行う必要があります。

当事務所では、女性弁護士が年金分割に関するご相談をお受けしております。

相手方が手続に応じてくれないと困っている方の相談を良くお聞きしますが、相手方の協力を得なくても、離婚し年金分割を得る方法がありますので、一度ご相談ください。

養育費算定表の使い方

現在、養育費や婚姻費用を決める場合には、裁判所が公表している養育費・婚姻費用の算定表を参考にすることが通例となっています。

数年前までは、法律相談の際に算定表の存在を紹介すると、ほとんどの方が「知らなかった」とおっしゃっていましたが、最近では、算定表の金額をチェックした上で相談に来られる方も多く、一般の方にも認知度が上がってきたと感じます。

今日は、算定表をどう見たらいいのか、についてご説明したいと思います。

算定表は下記をご覧ください。(裁判所の公式HPです)

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/

 

算定表は、表1から表19まであり、

① 養育費か、婚姻費用か
② 子どもは何人いるか
③ 子どもの年齢は0~14歳か、それとも15歳~19歳か

によって場合分けされていますので、該当する表を探して見てください。

ここでは、表1 養育費・子1人表(子0~14歳)を例にとります。

(1) 両親の収入額を確認する

縦軸には「義務者の年収/万円」と書かれていますが、義務者というのは養育費の支払義務者のことです。
横軸は「権利者の年収/万円」と書かれていますが、権利者というのは養育費を受け取る人のことです。
つまり、子の母から父に対して養育費を請求する場合であれば、縦軸が父の年収、横軸が母の年収になります。

縦軸も横軸も、「給与」と「自営」に分かれていますが、給与所得者であれば「給与」、自営業者であれば「自営」の欄の数字を見ます。

ここでいう年収は、税金や社会保険料などを含めた、収入総額を指します。
つまり、いわゆる「手取り」ではなく、「額面」になります。

給与所得者の場合、源泉徴収票でいうと「支払金額」の欄に書いてある額で、何も引かれていない状態の額で見て下さい。

自営業者の場合には、確定申告書の「課税される所得金額」に書かれている額が「年収」になります。
ただし、「課税される所得金額」は、実際の収入とは乖離があります。
例えば、青色申告控除を受けている場合、実際には支払いをしていない専従者給与を計上している場合などです。
これらの場合には、実際には支出していない金額が「課税される所得金額」から差し引かれていますので、養育費等の計算に当たっては、「課税される所得金額」に「青色申告控除」「専従者給与」を加算した額を年収として考えます。

(2) 算定表上で、両親の収入額がクロスする場所を確認する

子の父と母の収入額が分かったら、算定表で、どの場所でクロスするかを見ます。

算定表では、25万円刻み(給与収入の場合)で数字が書かれています。
中間的な数字の場合はどこを見たらいいのか迷うと思いますが、近い数字の方を見るものとされています。
例えば、130万円の給与収入がある場合、125万円と150万円では125万円のほうが近いので、125万円の欄を見ます。

算定表は、2万円ずつの幅を持たせたものとなっています。
例えば2~4万円の枠内にクロスするポイントがある場合、個別的な事情を考慮して、2万円から4万円の間で決めるものとされています。

クロスするポイントが4万円に近い場合は4万円、2万円に近い場合は2万円、中間にある場合は3万円が標準額となります。
ただし、個別的に考慮すべき事情がある場合はこの限りではありません。

(3) 算定表の金額は、公立学校へ通うことを前提にしている

算定表は、公立中学校・公立高等学校に関する学校教育費を指数として考慮しています。
つまり、公立学校にかかる費用は織り込み済みなので、子どもが公立学校に通っている場合は、学費を加算するよう求めることはできません。

私立学校に通っている場合にその学費を加算できるかどうかについては、支払義務者の了解があったかどうか、支払義務者の収入・資産状況等によって判断されます。

 

当事務所では、女性弁護士が養育費に関するご相談をお受けしております。

お気軽にご相談ください。

成人しても養育費を受け取れる場合とは?

通常、養育費を受け取れるのは成人するまで。
調停や審判、判決でも、養育費の終期を「20歳の誕生日を迎える月まで」と定めることが圧倒的に多いです。

ただし、これにも例外があり、
20歳よりも短くなる場合、20歳を超えても養育費を受け取れる場合があります。

20歳より短くなるのは、例えば、子どもが高校を卒業してすぐに働き始めた場合。
そもそも、養育費というのは、自分で生活する力がない子どものためのものですので、
社会人として収入を得るようになれば、養育費を支払う必要性は消滅します。

では、20歳を超えて養育費を支払ってもらえるのはどのような場合でしょうか?

もっとも多いパターンは、学生の場合。
4年制の大学などに通っていて、20歳を超えても自力で生活する収入を得られないケースでは、22歳までの養育費が認められることがあります。
また、子どもに障害・病気があるなどの理由で、成人しても自立ができない場合にも、20歳以降の養育費支払義務が認められます。

もっとも、大学に行っていれば必ず22歳までになるというわけではなく、
養育費の支払者(父であることが多い)が大学進学を承諾しているかどうか、経済的余裕があり学費の負担が可能であるかどうか、親の学歴や職業、家庭環境など、いろいろな事情を考慮して決められます。

特に、養育費の支払者が大学進学を承諾しているかどうかが重要なファクターとされることが多く、
父親に相談なく勝手に大学に進学した場合には、養育費は20歳で打ち切られる可能性が高くなります。

学費に関しても同様の考え方が採られており、養育費支払者の承諾の有無がモノを言います。

子どもが小さいころに離婚して、父親と音信不通の期間が長く続いた場合などには、父親に相談せずに大学進学を決めることも多いように思います。
進学が決まってから、改めて大学にかかる費用が高いことを知り、父親にも負担をお願いしたいというお気持ちになる方もいらっしゃいます。

しかし、進学を決めてから話を持っていきますと、「進学を承諾していない」と主張され、支払いに応じてもらえないことになりかねません。
気持ちの面でも、「何の相談もなく、金銭の要求だけか」と思われてしまい、快く支払ってもらうことは困難になりますので、進路を決める段階から、父親と連絡を取り合い、相談しておくことが肝要だと思います。

子どもにとっても、父親と進路について話し合うことは有益であるはずです。
進路を決める段階で、思い切って父親と進路について意見を聞き、大学進学について承諾を得ておくことをお勧めいたします。

ただし、承諾がなくても、
親の経済状況に余裕があり、きょうだい全員が大学に進学しているなどの事情がある場合などには、明示的な承諾がなくても養育費の支払いが認められることもあります。

また、20歳以降の養育費については、成人しており、アルバイト収入を得ることも多いということで、19歳までの金額よりも減額されることが多いのでご注意ください。

 

当事務所では、女性弁護士が養育費に関するご相談をお受けしております。

どのようなことでも結構ですので、お気軽にご相談ください。

子どもがいない場合の遺産相続

最近、
「私には子どもがおらず、配偶者もいないのですが、遺産は誰のものになるのですか?」
というご相談を数件続けて受けましたので、今日は、このテーマを取り上げたいと思います。

配偶者も子どももいない場合の第一順位の相続人は「直系尊属」です。
「直系尊属」とは親、祖父母、曾祖父母…を指します。

直系尊属が全員すでに亡くなられていている場合は、相続人は「兄弟姉妹」です。
兄弟姉妹のみが相続人の場合、相続分は均等となります。
つまり、兄弟姉妹が2人なら2分の1ずつ、3人なら3分の1ずつを取得します。

 

特定の親族に相続させたい場合

冒頭のような相談をされる方の多くは、
「兄弟姉妹全員に均等に相続させるのではなく、世話になった特定の兄弟姉妹に財産を引き継いでほしい」
あるいは
「兄弟姉妹は一切面倒を見てくれなかったので、他の人に財産を渡したい」
という希望をお持ちです。

そのような希望がある場合は、遺言書を書いておくことを強くお勧めします。

遺言書がなければ、法律の規定にしたがって、兄弟姉妹全員に平等に相続権が発生します。
生前、見舞いにも来なかったのに財産だけを要求してきたが、何とか断れないのか、というご相談もよく耳にしますが、法律上は相続権がありますので、ご本人が放棄しない限りはどうしようもありません。

なお、兄弟姉妹以外の法定相続人は、遺言上は一切財産をやらないと書いてあっても、相続財産のうちの一定の割合を確保する権利を持っています(「遺留分(いりゅうぶん)」といいます)。

これに対し、兄弟姉妹の場合は「遺留分」が認められていませんので、兄弟姉妹が遺言書の内容に不服であっても、何らの主張をすることもできません。

 

兄弟姉妹がすでに死亡している場合

さらに、兄弟姉妹の中に、ご本人が亡くなるより前に死亡した方が含まれる場合、
その兄弟姉妹の子が、つまり甥・姪が相続人となります。(代襲相続、といいます。)

今、70代以上になっている方の中には、兄弟姉妹が7人8人と大変多い方も珍しくなく、甥・姪も含めて相続人が10人以上の人数になることもあります。
そうなると、相続手続に必要な印鑑をもらうだけでも一苦労です。

遺言書があれば、法定相続人全員の印鑑をもらう必要なく、指定された人が単独で相続手続きを行うことができますので、そういう意味でも遺言書を作成することにはメリットがあります。

 

当事務所では、相続・遺言書に関するご相談をお受けしております。

お気軽にご相談ください。

自分で離婚調停を申し立てたい方へ

本日は、ご自分で調停を申し立てるにはどうしたらいいか?というお話をしたいと思います。
件数の多い離婚調停についてご説明しますが、基本的には他の種類の調停も同じです。
離婚の法律相談に来られる方からは、「弁護士を立てないと離婚調停はできないのですか?」という質問をよくお聞きしますが、もちろんご本人のみでも調停申立ては可能です。 調停は、基本的に裁判所の力を借りて当事者が話し合いを行うものなので、法律に詳しくない方でも利用しやすい制度だと言えます。

ご自身で調停を申し立てる場合には、
①申立書を書いて、
②添付書類を準備して、
③印紙と切手を買って、
④裁判所に提出しに行けば
完了です!

 

① 離婚調停の申立書

 

申立ての書式は、お近くの家庭裁判所に行って「用紙下さい!」と言えばもらえますし、ネット上でダウンロードすることもできます。

 

裁判所が提供している離婚調停の申立書書式及び記入例はこちらをクリックしてください。

調停申立書は、裁判所用と相手方送付用の2通を準備します。

調停申立書は、裁判所を通じて相手方に送付されますので、相手方に知られたくない住所や事情を記載しないように注意する必要があります。

裁判所に申立書以外の資料を提出する場合も、基本的には2部用意し、1部は裁判所に、1部は相手方に渡すという扱いになります。

したがって、例えば源泉徴収票に住所が記載されている場合などは、住所部分を黒塗りにしたコピーを提出します。

黒塗りにすると意味がなくなってしまう書類の場合は、非開示にしてほしいという申し出を行うことができますが、非開示にするかどうかは裁判所の判断となり、100%非開示が保障されるというわけではありません。

 

② 添付書類

申立書には、必ず戸籍謄本を添付します。

離婚と同時に年金分割を請求する場合には、「年金分割のための情報提供書」が必要です。
「年金分割のための情報提供書」は、厚生年金の場合は年金事務所にて申請しますが、その申請のためにも戸籍謄本が必要となりますので、年金分割を希望される方は、戸籍謄本を2通取り寄せておきましょう。

 

 

③ 費用

離婚調停申立てに必要な費用は収入印紙1200円分と、当事者に連絡するのに使う郵便切手代です。

郵便切手代は、大阪の場合は1000円程度ですが、82円が何枚、10円切手が何枚、というように内訳が決まっており、切手を購入して窓口に持参する必要がありますので、事前に裁判所に問い合わせてください。

裁判所内の売店等でセット済みの切手を販売している場合もあります。

 

④ 提出先

提出できる裁判所は、原則として「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」になりますのでご注意ください。

裁判所の手続は、当事者の住所によって、どこの裁判所を利用できるかが決まっています。

どこの裁判所になるか調べたい方はこちらをクリックしてください。裁判所のホームページに飛びます。

お互い、近くに住んでいる場合は問題ないのですが、遠隔地で別居している場合は、申立てをする人が、相手方の住所地まで出向く必要があり、交通費の負担が大きくなることがあります。

裁判所が遠い場合、申立書の提出は郵便でも可能です。

 

当事務所では、離婚調停を代理人としてお引き受けすることもできますし、ご相談だけを受けていただき、ご自分で調停を進めることも可能です。

ご不明な点がありましたら、お問い合わせください。

破産したことを秘密にしたい

破産したことを家族や職場、友人に知られたくないのですが、大丈夫でしょうか?と聞かれることがあります。

一般的に、破産の手続きを進めるにあたって、弁護士を代理人にしている場合には、裁判所からご本人に直接連絡が行くことはありませんし、職場に連絡することもありません。

ご希望があれば、弁護士からご自宅には連絡をしないようにしますので、その旨をお伝えください。

ただし、破産の手続き上、ご家族の協力を得なければならないことがあります。できれば、ご家族には事情を話して理解を得ておくことが望ましいと思います。

具体的には、破産の手続きにあたっては、「世帯」での収支状況を報告することが求められます。
家計の管理を配偶者に任せている方の場合は、配偶者の協力なしでは、破産手続の準備が非常に困難になります。
また、光熱費の引き落とし通帳が配偶者名義になっている場合には、その通帳を提出する必要があります。

また、家族、友人・知人、勤務先が債権者になっている場合には、破産したことを秘密にしておくことはできません。
例えば、勤務先からお金を借りている、知人から購入した物品の代金を支払っていない、など、何らかの支払い義務を負っている場合です。保証人になってもらっている場合も同様です。

このような場合は、相手方を裁判所に提出する「債権者一覧表」に載せなければならず、相手方には裁判所からの通知が送付されます。

なお、破産すると、必ず、「官報」という国が発行している新聞のようなものに住所と名前が掲載されます。
官報は誰でも見ることができるものなので、厳密な意味で秘密にしておくことは不可能です。

しかし、官報に掲載される情報量は膨大で、一般の方で、これをチェックしているという人はほとんどいません。
したがって、たまたま、官報に名前が載っているのを知人に見つけられてしまった…という事例はまずありません。

 

破産申立てに関してご心配なことがある方は、ご遠慮なくご相談ください。

メールでの相談にも応じております。