個人再生手続きにおける養育費の取り扱い

※過去の養育費

 過去の養育費は、再生計画の弁済期間中は再生計画通りに弁済されるが、再生計画による弁済が完了した時に残額を一括弁済しなければならない

 

再生手続では、再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権を「再生債権」と呼んでいます。

「再生債権」は、再生計画に従って弁済することになっています。

再生手続開始の時点で滞納している過去の養育費は、「再生債権」に該当しますので、再生計画の弁済期間(原則として3年)は、再生計画に従って支払うことになります。

例えば、過去の滞納分が100万円、再生債権の20%を支払うという計画を立てた場合には、3年間で20万円を支払います。

 

しかし、養育費は「非免責債権」と言って、支払いのカットができない債権になっているため、

再生計画による弁済が終わった時に残額(上の例で言うと80万円)を一括で支払わなければならないのです。

一括での支払ができない場合には、改めて、元配偶者との間で分割払いの合意をする必要があります。

 

※将来の養育費

 将来の養育費は、再生手続とは関係なく審判・調停もしくは約定のとおり月々支払う

 

再生手続開始後の養育費は、「再生債権」ではなく「共益債権」とされています。

共益債権は、再生手続きとは関係なく支払われる債権であり、弁済額のカットはありません。

したがいまして、元々、審判や調停で決まった額、もしくは公正証書等で約束した額を支払っていく必要があります。

 

 

 

堺けやき法律事務所

弁護士 深堀 知子

 

 

個人再生手続において滞納家賃がある場合

現在お住まいの住居、もしくは事業で使っている店舗棟の家賃を滞納している場合、

家賃を支払わないと退去しなければならないので、家賃だけ先に支払ってもいいですか?という質問を受けることがあります。

結論から言うと、家賃を優先して払うことはできません。

なお、これはあくまでも過去の家賃を滞納している場合の話であり、

月々の家賃を遅れずに支払っている方は、再生手続きに入ってもそのまま家賃を支払って居住していただくことができます。

 

個人再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権は、すべて「再生債権」として扱われます。

家賃も例外ではなく、個人再生手続開始前の滞納家賃は「再生債権」になります。

再生債権は、再生計画に沿って弁済する必要があるため、家賃を特別扱いすることはできないのです。

 

ただし、事業用の物件の場合は、明渡をすると事業継続に著しい支障を来すという事情があり、かつ、滞納家賃の額が少額にとどまる場合には、裁判所の許可を得て弁済することができます。

単に、引越費用がかさむという理由では弁済は認められませんので、転居せざるを得ません。

ご家族などの第三者が代わりに滞納家賃を支払うことは可能ですので、どうしても転居ができない場合はそのような方法をご検討ください。

もしくは、家主に了解してもらえる場合には、敷金・保証金を滞納家賃に充当してもらうというやり方もありますが、なかなか了解を得られないことが多いと思います。

 

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弁護士 深堀 知子

 

所有者不明土地・建物管理制度

所有者不明土地・建物管理制度とは

所有者不明土地・建物制度は、令和5年4月から始まった比較的新しい制度で、年々利用が増えてきているようです。

所有者が不明、もしくは所有者の所在が不明であるために、土地や建物の活用ができないという場合に、

裁判所が選任した管理人に不動産を管理させ、さらに、裁判所の許可を得た場合には売却することもできます。

 

利用条件

① 土地・建物の所有者が不明、もしくは所有者の所在が不明であること

可能な限りの調査をしても、所有者が分からない/所有者の所在が分からない、という場合にのみ利用可能

※ 調査方法

住民票や戸籍謄本類を取得する

登記上の住所・住民票上の住所・不動産の所在地宛に郵便を送る

現地を訪問し、表札・郵便受け・電気メーター等を確認、近隣住民に尋ねる

登記上の名義人が死亡している場合には、相続人の有無を調査する

 

 

② 所有者不明土地・建物管理人による管理が必要であること

例 当該の土地・建物が長年放置されているため、倒壊等の危険がある

 

③ 利害関係人による申立てであること

例 当該の土地・建物が適切に管理されないため、不利益を受ける可能性がある隣地所有者

土地を購入してより適切な管理をしようとする公共事業者

民間の事業者等であっても、購入計画に具体性があり、土地建物の購入に利害関係がある場合は認められる

 

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弁護士 深堀 知子

個人再生の2つの手続き~小規模個人再生と給与所得者等再生

小規模個人再生と給与所得者等再生

 

個人向けの再生手続には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。

いずれも、支払いに行き詰まった場合に利用できる手続きですが、

小規模個人再生は主に個人事業者向け、 給与所得者再生は給与等の定期収入がある方のみが使える手続きです。

小規模個人再生は、給与所得者の方も利用できます。

 

1 利用条件

※小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する条件

① 再生計画通りの支払ができるだけの継続的・反復的な収入を得る見込みがあること

② 債務の額が5000万円以下であること(住宅ローンの額等は除く)

 

※給与所得者等再生のみに必要とされる条件

③ 給与などの定期的な収入があり、かつ、変動の幅の小さいこと

 

2 弁済額

※小規模個人再生

下記の①、②のいずれか多い方を支払います。

① 債務の額から法定の割合で計算した「最低弁済額」

② 清算価値(不動産、預貯金などの財産を処分して得られる額)

※ 最低弁済額
債務の額 最低弁済額
100万円未満 債務の額と同じ
100万円~500万円 100万円
500万円~1500万円 債務の5分の1
1500万円~3000万円 300万円
3000万円~5000万円 債務の10分の1
 

※給与所得者等再生

上記の小規模個人再生の①、②の他に、③の基準が入ります。

①、②、③を比べて、一番多い額を支払います。

 

③ 可処分所得額×2年分

可処分所得とは、給与等の手取り額から生活費など(政令基準額による)を差し引いて、残った額をいいます。

給与等が高いと、③が①・②を上回り、弁済額が多くなることがあります。

そのような場合には小規模個人再生を選択することも可能ですが、

小規模個人再生の場合、下記3に記載する債権者の決議を経る必要があります。

 

 

3 債権者の決議

小規模個人再生では、債権者が再生計画案に対して同意するかどうかを決議する手続きがあります。

頭数または債権額で過半数以上の反対があった場合には再生計画案は否決されます。

給与所得者再生にはこの決議のステップはありません。

 

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